、ぽーんといきおいよく穴から跳《は》ねあがってきたのは、正太少年であった。彼は一ぺん下にあたって、ゴム毬《まり》のようにはねあがったが、やがて足がふたたび下につくと、のそりのそりと博士の前にやってきた。正太少年が、なぜこんなところへとびだしてきたのであろうか、いや、正太少年でないことはたしかである。
「おお、人造人間エフ氏。話があるんだ。ちょっとこっちへおいで」
人造人間エフ氏をむかえて、イワノフ博士は、人間とおなじにあつかった。
「なにかご用ですか」と、エフ氏はいった。
「うむ、わしが作った人造人間じゃが、われながらうまくできたものじゃ。こっちのいった言葉に応じて、ちゃんと返事をするんだから、大したもんだよ」
博士は、うれしそうに、しげしげと人造人間をみて、
「まあ、そこへおかけ。そうだそうだ、そのとおりだ。――ところでエフ氏よ、いよいよかねての計画をここではじめようとおもうが、君の考えはどうかな」
「いいでしょう。ぜひはやくおはじめなさい」
「うまいうまい、その調子で、もっとたのむぞ。――ところで、それをやる前に、日本中の人間をふるえあがらしておきたいとおもうのだ。それには、ラ
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