やかましいことをいって、兄妹を入らせまいとする。
イワノフ博士《はくし》
「じゃあ、イワノフ博士をここへよんでください。僕たちは、お隣りにすんでいる正太《しょうた》とマリ子という兄妹なんです。博士が……」
「なにいっても、日本人はいれましぇん。かえらなければ、私、つよいところを見せます」
「まあ、待ってください。だって博士が、僕たちにぜひ見に来いといって、さっき電話をかけてくださったんです」
「兄ちゃん、もうよしてかえりましょうよ」
小学校の四年生の妹のマリ子はあまり受付がひどい剣幕《けんまく》なので、もうかえりたくなった。
「お待ちよ、マリちゃん。だって博士が見に来いといったのに、受付の人からおいかえされるなんて、そんな変なことはないよ」
「こらっ、どうしてもかえりましぇんか。日本人|剛情《ごうじょう》でしゅ、私、腕をふりあげます」
「あれぇ、兄ちゃん」
マリ子は兄の正太をひきもどそうとする。正太は中学三年生、なかなかしっかりしている。その時だった。
その仁王《におう》さまのような受付の腹の中で、なにかギリギリギリと変な音がした。とたんに受付のふりあげた腕が、その
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