機械人形とはいわず、人造人間《ロボット》とよぶようになったほど、りっぱなものができるようになった。
だが、ちかごろ博士は、もう前のように人造人間《ロボット》を町の人々に見せたがらなくなった。ただ申しわけのように、年に一度、それは白い李《すもも》の花の咲きほころぶ春、お寺の門をひらいて、町の人々を庭園に自由に出入させ、そして機械でうごく人形や馬や犬などを庭園に出して、見物させるのであった。きょうはその年にたった一度の、人造人間《ロボット》デーであった。庭園の中には、町の人々がいっぱい押しかけ、めずらしいものを見ようとおしあっている。ことに入口の混雑ときたら、たいへんであった。
「おお、あなたがた、はいれましぇん。人造人間《ロボット》、たいへん秘密あります。日本人いれることなりましぇん。さあ、おかえりなさい、はやくおかえりなさい」
今しも、二人づれの兄妹《きょうだい》らしい日本人の少年少女が、入口の受付で、仁王《におう》さまのように大きいロシア人から、どなりつけられている。
「だって、僕たちは……」
「いけましぇん、いけましぇん。なにいっても、はいれましぇん」
受付の大男は、なかなか
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