間《ロボット》の研究はとてもおもしろいんだもの。マリちゃん、お前、一足さきへかえってくれない。兄さんは、もっと実験をみてから、帰るから」
「いけないわ、いけないわ」
 マリ子は、それを聞くと、正太の胸にすがりついて、放そうとはしなかった。
「だって面白いんだがなあ。ねえ、マリちゃん。イワノフ博士って、すてきにえらい方だよ。人造人間をたくさんこしらえて、世界中をもっと幸福にもっと便利にしようといわれるのだよ。僕、人造人間のこしらえ方まで習ってゆきたいと思っているのだがなあ」
「いけないわ、お父さまが心配していらっしゃるわ。すぐ一しょに帰りましょうよね」
 すると、そのときまで黙って二人の話をきいていたイワノフ博士が、声をかけた。
「では正太しゃん。今日はどうぞ、おかえりください。マリ子しゃん、心配しています」
「だって博士。ここを見せてくださるのは、今日かぎりなんでしょう。明日は、もう駄目で見せてくださらないのでしょう」と正太がいえば、
「では、明日一日だけ、もう一度あなたに見せます。あなたひとりで来るよろしいです」
 イワノフ博士は、にこにこ顔で、それをいった。


   正太《しょう
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