イワノフ博士を捕えるよう、彼の考えをのべたのであった。それを聞いていたのは、警視庁の大江山捜査課長であったが、
「よし、わかった。では、すぐ手配をするから、安心してくれたまえ」
といって、帆村のはたらきをほめた。帆村と正太とは、それから自動車で、保土ヶ谷のトンネル附近へ、はこんでもらった。現場は、火事場さわぎであった。消防自動車が高いビルの消火のときにつかう長い梯子《はしご》をまっすぐ上にのばし、その上から探照灯でもって、エフ氏の逃げこんだ谷あいを照らしていたが、その明るい光は、一本や二本でなく、方々から同じところに集められているので、谷あいは、真昼のような明るさである。
「どうしました、人造人間は?」と、帆村が一人の警官にきけば、
「人造人間は、あの大きな木が倒れているあたりから、地中へもぐりこんだきり、なかなか出てこないのだ」
そのとき、その谷あいが、轟然《ごうぜん》たる一大音響とともに爆発した。ものすごい火柱がたち、煙と土とが、渦《うず》をまいた。すべては探照灯に照らしだされて、更にものすごさを加えた。
大団円
おもいがけない爆発だった。
「ははあ、正太君。人
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