造人間エフ氏は、とうとう自爆をしたんだよ」
帆村探偵は、手をひいている正太に教えてやった。
「ああ、とうとう自爆したんですか」と、正太はほっと溜息《ためいき》をつき、
「でも、いくら人造人間でも、僕と全く同じ形をした少年の身体が、こなごなにとび散ったとおもうと、なんだかへんな気がするなあ」と、いった。もっともなことである。
人造人間の自爆は、他の方からも、つたえられてきた。やれやれこれで安心だというものもあれば、惜しいことをしたというものもあった。
「さあ、残るはイワノフ博士の行方《ゆくえ》なんだが、一体どうしたんだろう」
帆村は、しきりに、そのことを気にしていた。イワノフ博士の行方について、くわしいことが帆村の耳に入ったのは、その次の日の朝であった。
それを話してくれたのは、横浜の水上署の警官で飛田《とびた》という人だった。その話というのは、こんな風であった。
「いや、全くおどろきましたよ、昨夜の十時ごろでしたかね。私が、ランチにのって、港内を真夜中の巡回《じゅんかい》をやっていますと、海面にへんなものを発見したんです。船でもないのですが、海面を相当のスピードで進んでいくもの
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