うあそこまで来た。畜生、わしのものを失敬して、わしを攻めるとは、けしからんドイツ軍だ。だが、今に見ておれ」
博士は、かずかずの呪《のろ》いのことばを、地平線のあなたに投げつけた。はるかうしろの、もうすっかり明け放れた地平線上には、いつの間に追いついたのか、三四百人の人造人間部隊が、肩を揃え、顔を並べて、大河の流れのように、こっちへ押しよせてくるのであった。
「あっ、撃った」
「えっ」
「人造人間の腕に仕掛けてある機銃《きじゅう》が、一せいにこっちに向いて、撃ちだしたぞ」
だだだン、だだだン、だだだン。
ものすごい銃声だ。銃弾は、ひゅーン、ひゅーンと、呻《うな》りごえをあげて、私たちのまわりにとんで来る。私は、博士にうながされて、いそいで自動車上の人となった。
「見ていろ、千吉。今あの人造人間部隊を、一時にぶっつぶしてみるから」
博士は、しわがれたこえで叫ぶと、車上の器械のスイッチを入れて、釦《ボタン》をぽンぽンと押した。
「あれ、見よ!」
轟然《ごうぜん》たる音が、人造人間部隊の中から、起った。私は、今までに、こんな痛快な光景をみたことがない。一瞬のうちに、人造人間部隊は、ば
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