く、あの人造人間の設計図は、モール博士の研究したものであることは、たしかだ。余は、あの設計図を写真にうつして、本国政府へ報告した。その返事があって、モール博士の研究であることが、はっきりしたのだ。お前が、それを認めようが認めまいが、余等《よら》のやることに、くるいはない」
と、大尉は、自信ありげにいって、気をひくように私の顔をみた。
大尉は、私を験《ため》しているのだ。大尉は、私から、モール博士のことを、もっといろいろ知りたいのであろう。
「ところで、この工場では、あの十八枚の図面を基《もと》として、すでに人造人間の製造を始めているんだ。お前に、それを見せたいと思う」
大尉は、とつぜんおどろくべきことをいいだした。
電波操縦《でんぱそうじゅう》
私は、どうにかして、圧倒せられまいと、自分の心を叱《しか》りつけたが、そのようにはいかなかった。フリッツ大尉の案内により、大仕掛《おおじかけ》な地下工場のまん中に立ち、呻《うな》る廻転機《かいてんき》や、響《ひび》く圧搾槌《あっさくづち》の音を聞いていると、ドイツ人のもつ科学力に魅《み》せられて、おそろしくなってくるのだ。
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