にさいそくをした。
「なぜ?」
私の眼は、なおも図面のうえに、釘《くぎ》づけになったままで、ニーナにといかえした。
「おや、これはなんだ。えらいものを、みつけたぞ。ははあ、そうか」
ニーナが、図面を早くしまえといったわけが、急にはっきりしたのであった。それは、外《ほか》でもない。図面の四隅《よすみ》に、小さい穴があいているのを発見したのだ。
「わかった。誰か、この図面を、写真にとったのだ。ニーナ、誰が、そんなことをしたのだ、おしえたまえ」
ひとの知らないうちに、この貴重な図面を写真にとってしまうなんて、ひどい奴があったものである。
ニーナは、もう仕方がないという顔つきで、
「千吉、あまり大きいこえを出さない方がいいわ。一体、ここを、どこだとおもっていらっしゃるの」
私は、ニーナのことばに、あらためて、びっくりしなければならなかった。
そうだ、ここは一体、どこなのだろう。さっき、目がさめたときから、今までに見たことのない、ふしぎな場所にいるわいと、気になってはいたのだが……。
「ニーナ。ここは、一体どこかね」
私は、ニーナのへんじをきいて、びっくりしなければいいがと思った。
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