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△洋服をぬぎ、洋服かけがちゃつく。同時に膳部《ぜんぶ》の仕度の音、薬鑵《やかん》、飯櫃《おひつ》の音。
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母親 さあ、どうぞ。
父親 よお、どっこいしょ、と……ああ道夫はどうした。
母親 あのう、たいへん睡くて、脳髄がお豆腐《とうふ》のようになりそうだと、こう申しますので、お先に寝かしてやりました。
父親 おおそうかい。道夫も此頃《このごろ》受験準備で、可哀想《かあいそう》な位つかれているね。すぐ寝かしてやったとは、お前にしちゃ大出来《おおでき》だ。
母親 さあ、どうぞ。
父親 ああ。山盛《やまもり》よそってくれ。ああ腹が減った。
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△音響、茶碗を盆《ぼん》にのせる音。つづいて飯櫃をひらく音。
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父親 おや、赤貝に青柳が出ていないぜ、おい、どうしたんだ。
母親 はい。大山盛です。
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△父親、飯を頬《ほお》ばる。
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父親 赤貝に、青柳に
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