ものを備えている超立体世界《ちょうりったいせかい》があったとしましょう。この超立体世界の卵かなんかが、いま突然我々の目の前をとおりぬけたとしたら、それはどんな風に見えるでしょうか。まず、はじめはぽつんと点があらわれますね。それが見る見る膨《ふく》れてやがてゴム毬《まり》のようになり、更にだんだんおおきくなって、ガス・タンク位になりました。と思うと、今度はどんどん縮《ちぢ》みはじめて、あれよあれよといううちに、元のゴム毬位の大きさになり、やがてぱっと消えてしまいました。さあ人間はびっくり仰天《ぎょうてん》、これをなんていうでしょうか「ああ、わしは今そこで幽霊を見たよ」って!
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つまり、超立体世界のものが我々の立体世界に交《まじ》わると、それが幽霊に見えるのです。
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△幽霊の消える擬音《ぎおん》と怪奇《かいき》音楽よろしくあって……。
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   第三景 受験生の親達


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△遠くでラジオが聞えだす。(浪花節《なにわぶし》か義太夫《ぎだゆう》
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