たい何者だろうか。
 そうだ、あれかも知れない。あれというのは、地球が四回氷河期をむかえたが、その前にこの地上にすんでいた高等生物の子孫ではないかと思う。その当時、彼らのあるものは地上がさむくなったため、地中へにげこんだのだ。そしてそれ以来ずっと地中で何万年もくらしていた前世紀の生物じゃないかと思う。それがひょっくりこの穴の奥から出て来たのではあるまいか。ふしぎなことだが有り得ないことでもないと思う。
 そういえば、兄さんがこれまでにこの穴で地中を伝わる震動をかんそくして来たが、どうもあたりまえの地震ではないところのへんな震動が交っていた。兄さんはその謎をとこうと思い、誰にもいわないでその研究をつづけて来たわけだが、それはついにこのような悲劇をむかえることとなった。なにごとも運命である。――だが、兄さんはまだ息があるうちに世界中でまだ誰も知らない地中怪人族を見ることができて、うれしいと思う。この怪物どもだよ、青髪山の魔神といわれていたのは。あの足あと、あのあやしい空中飛行……。
 みなで警戒しなければならない。もっとりっぱな研究者たちをここへ送るようにせよ。十分に警備隊をおいて、けがの
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