の魔神《まじん》の血じゃないかと思うんだ」
「魔神の血だって。魔神のからだにも血があるのかしらん」
 五助は目を丸くして彦大の顔を見つめる。
「それはぼくの想像だよ。とにかくこの穴の奥へ入って、もっと探してみようじゃないか」
 彦太は先に立って、穴の奥へ進んだ。穴は行きどまりのように見えた。だが、持ってきたつるはしをふるっで、土の壁を四五回掘ってみると、急に土ががらがらと崩れて、その奥に暗い穴があいた。
「やっぱりそうだ。この奥に穴がつづいているんだ」
 二人は、電池灯をふりかざして、その奥へ足を踏み入れた。
「でっかい穴だね」
「兄さんが掘った穴ではないようだね。もうずいぶん古くからあった穴らしい」
 穴の壁は岩のようにかたくなっていて、地質がちがっていた。いよいよ空気はつめたく、そしてどこからか滴《しずく》の落ちるような音がきこえた。彦太があっと叫んで、前へのめった。彦太の電池灯がふっと消えた。
「彦ちゃん。どうしたッ」
「なに、大丈夫。足がすべっただけだ。水が流れているよ」
 五助はほっと安心して、灯を持って彦太のところへ近づいた。彦太は両手をはじめ膝のあたりを泥まみれにして起上
前へ 次へ
全29ページ中24ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング