ついで側らの倉庫の中に姿を消してしまう。五分間ほど経つと、再び倉庫の扉が細っそりと開き、さっきの青年と、一人の怪漢とが、こんどは仲がよさそうに出て来た。倉庫の角のところまで来ると青年は、
「御苦労だった。これは少いがお礼にとって置け」
「どうも親分すみませんな」
「あの若僧の死骸は浮き上るようなことアあるまいな」
「永年の荒療治稼業、そんなドジを踏むようなわっしじゃございやせん」
青年はいまし方出て来た汽船の方へかえって行った。――と考えてはどんなものでしょうか。やあ、貴方は大変お顔の色がわるい、お風邪をめしたのじゃありませんか。此所に幸い熱さましのカプセルと、ホット・レモンもありますよ、こいつをグイッと、どうです。いい気持になりますよ。
私はもう元気に床を離れている。あれからこっち「赤耀館事件の真相」について再び考えをめぐらすことがいやになった。しかし兎もすれば、私はあの話の方へいつの間にか引き戻され勝ちである。
きけばこの頃、赤耀館の主人公は、精神異常だと言いふらされているそうだ。私は彼の物語った事件の真相なるものが、全然虚構であるとは思っていないが、勿論あの全部を信用して
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