。赤星五郎という、実は私立探偵なのです。例の事件について深い興味を持っている人で、今日は改めて赤耀館や、実験室を拝見させて頂こうと思って参上しました。赤星君、こちらが百合子さんと仰有るお嬢様です」
 百合子が紹介を受けた赤星探偵は、まだ年の頃は、三十になるかならぬかの若さでした。後に長く垂れ下った芸術家のような頭髪《かみ》と、鋭い眼光を隠すためだろうと思われる真黒な眼鏡とが、真先に印象されたのでありました。百合子は、尾形警部ともあろうものが、私立探偵などを引張って来たことを、可怪《おか》しく思いながら、家の一間一間を、案内して歩きました。赤星探偵は、ただフンフンと聴問しているばかりで、あまり機敏らしい様子もありません。しかし三人が兄の死んでいた実験室に入って行ったとき、百合子は初めて、赤星探偵の凡人でないのを了解することが出来ました。
「尾形さん。貴方は、大変な事実を見落していなさるよ」赤星探偵は椅子に腰を下したまま、すこし緊張に顔を赤らめてそう言ったことです。
「赤星君、君は何かを発見したかネ」
「発見したとも。犯行も、犯人も、まるで活動写真を見るように、はっきりと出ているじゃないか
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