つはもう一人の仲間と協力して探しあてた或る重要資材の鉱脈《こうみゃく》のことを、内緒にしているんだ。その仲間というのは、山の中で縊死自殺《いしじさつ》の形で白骨《はっこつ》になっているのを発見されたが、遺書もなんにもない。ただその生前《せいぜん》一枚のハガキが、その遺族の許に送られていたが、それによると、あの大将と最近大発見をしたから、やがて大金持になって、これまでお前たちにかけた苦労を一ぺんで取返すということが書いてあった。だが、何を発見し、どこで発見したのか、それについては一言《いちごん》も触《ふ》れてなかった。そこで仕方なく、あの大将の身辺《しんぺん》から秘密を探しだす必要が生じたのだ。何を発見し、それをどこから発見したか。これからいって、のっぴきならぬ証拠をつきつけて、あの大将の口から聞くんだ。さあ、君はさきへ帰りたまえ。僕は表門から案内を乞うから」と、帆村ははじめて事件の内容を語ったのだった。
光枝がお屋敷へ戻ってみると、ただならぬ様子である。なにごとが起ったのか。
「いや、お前さん。たいへんなんだよ。旦那様のお居間で、大きな音がしたんだけれど、皆で入っていこうとしても、扉
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