ようにそっと見た。
(おお……)老人の顔に、狼狽《ろうばい》と喜びの色とが同時に走った。
(ああ神よ)老人は口の中で唱《とな》えると、再びがっくりとなって椅子にうなだれ、目を閉じた。老人は、そばにいる少年が、春木清ではないのを知って、いままでのはげしい悩《なや》みから急に解放されたのであった。
 そのとき頭目の、怒りにみちた声がひびいた。
「なんという手際のわるいことだ。調査不充分だぞ。責任者は処罰《しょばつ》される」
 左右をふりかえって、頭目は部下を叱《しか》りつけた。
「この剛情者二人は、当分あそこへ放りこんでおけ」
 そういい捨てて、頭目はうしろの垂《た》れ幕をわけて、その奥に姿を消した。異様な背高のっぽの覆面《ふくめん》巨人だ。牛丸少年は、感心して、頭目のうしろ姿を見送った。
(あの覆面の下に、どんな顔があるのか。早く見てやりたいものだ)
 彼はこわさを忘れて、好奇心をゆりうごかした。


   万国骨董商《ばんこくこっとうしょう》


 ここで話は、春木少年から姉川五郎《あねがわごろう》の手へ渡った半月形の黄金メダルの上に移る。
 今、姉川五郎のことをくわしくのべるにあたる
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