は便器であった。
 牛丸少年は、この部屋に永いこと、とめておかれた。ここでは、時刻がさっぱり分らなかったけれど、牢番《ろうばん》らしい男がきて、鉄格子の窓から、食事をさしいれていったので、朝がきたらしいことをさとった。
 牢番は、五十歳ぐらいのじゃがいものように、でくでく太ったおじさんだった。牛丸が話しかけても、牢番男は首を左右にふるだけで、返事をしなかった。
 昼飯《ひるめし》を持ってきたときに、牛丸はまた話しかけた。牢番は同じように首を左右にふり、指で自分の耳と口とをさして、
(わしは、耳がきこえないし、口もきけないよ)
 と、知らせた。夕飯《ゆうはん》のとき、牛丸が話しかけようとすると、牢番は、こわい目でにらんだ。そして不安な目付で左右をふりかえった。そしてもう一度こわい目をし、大口をあいて、牛丸少年をおどかした。
 牛丸は、がっかりした。すべての望《のぞ》みを失い、ベッドにうっ伏して、わあわあ泣いた。だが、誰もそれを慰《なぐさ》めにきてくれる者はなかった。
 疲れ切っていたと見え、その姿勢のまま、牛丸はねむってしまったらしい。
「起きろ。こら、起きろ、子供」
 あらあらしい声に
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