れをぼさぼさ頭にのせたところを見ると、型はくずれているが、船乗《ふなの》りの帽子だった。それから彼は、賽銭箱《さいせんばこ》の中から破れ靴をだして足につっかけズボンをひとゆすり、ゆすりあげてから、悠々と石段を下りていった。
こんな一大事が発生しているとは知らず、春木少年は八時ごろにお稲荷さんへのぼってきた。
昨夜、宝ものを椋の木の根方に埋めたが、埋め方がうまかったかどうか、それを検分するために、彼は朝早く崖をのぼってやってきたのである。
「ああッ!」彼の目は、すぐさま、異常を発見した。椋の木の根方はむざんに掘りかえされてある。春木少年は青くなって、そこへとんでいった。
「やられた」土の上に膝をついて、掘りかえされた穴の中を探ってみたが、昨夜彼が埋めたものは、影も形もなかった。そばを見れば目印においた丸石が放りだしてある。彼はがっかりした。そこに尻餅をついたまま、しばらくは起きあがる力さえなかった。
(失敗《しま》った。やっぱり、机の奥にしまっておけばよかったんだ。あわててもちだしたり、うっかりこんなところへ埋めたり、とんでもないことをしてしまった。せっかく戸倉老人が呉《く》れたのに
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