ひろいあげた。そして朝日の下で、また裏表をいくどもひっくりかえして見た。
「鍍金にしてはできがいいわい。まさか、本ものの金じゃなかろうね。おい屑がねの大将、おどかしっこなしだよ。おれはこう見えても心臓がよわい方だからね」
彼は黄金メダルを手にして、左右をふりかえった。角灯が目にはいった。それを引きよせ、その角のところで、黄金メダルを傷つけた。メダルは楽に溝《みぞ》がきざみこまれ、下から新しい肌がでてきた。それを姉川五郎は、陽《ひ》にかざして目を大きくむいて見すえた。
「おやおや。中まで金鍍金《きんメッキ》がしてあるぞ。えらくていねいな仕上げだ。……待て、待て。これは、本ものの金かもしれんぞ。そんなら大したものだ。叩き売っても、一カ月ぐらいの飲み料ははいるだろう。善は急げだ。さっそくでかけよう」
姉川は、黄金メダルをポケットの中へねじこんだ。それから彼は、腰縄をといて、外套をぽんと脱いだ。それから手を天井《てんじょう》の方へ延ばして、天井裏をごそごそやって、そこに隠してあった上衣《うわぎ》をとりだして、それをジャケツの上に着た。それからもう一度天井裏へ手をやると、帽子をだしてきた。そ
前へ
次へ
全242ページ中72ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング