電灯をつけろ。大丈夫だ。今の女は、ここからでていったんだ。そしておれたちは、この部屋に閉じこめられているんだ」
 頭目はわめきたてる。
 そのとき、電灯がぱっとついた。眩《まぶ》しいほど明かるい。一同は見た。頭目が、次の部屋との間の扉のハンドルを握って、うんうんいっているのを見た。
「おお、頭目」
「みんなこい。この扉をこじあけろ。こわれてもさしつかえないぞ」
 と、頭目は扉を放れて、指をさした。
 そこで部下たちは集って、扉へどすーんと体あたりをくらわした。二度、三度、四度目に扉の錠がこわれて、扉は向こうにはねかえった。
「それッ」と頭目を先頭に、部下たちが続いて、そこから次の部屋へとびこんでいった。
 急に部屋はしずかになった。
 残っているのは、痩躯《そうく》鶴《つる》のような机博士と、それからもう一人は、椅子車《いすぐるま》にしばりつけられた戸倉老人だけであった。
 老人は、気を失っていた。
 机博士は天井《てんじょう》を仰いで、首をふった。
「はて、ふしぎなことだわい。まさか妖怪変化《ようかいへんげ》の仕業《しわざ》でもあるまいに……」
 と、不審の面持《おももち》で、両手を
前へ 次へ
全242ページ中51ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング