声が、部屋の一隅から聞えた。
女は、この部屋にはいなかったはず。みんなはふしぎに思った。女の声は、一同が集っているところの反対側で、頭目の立っていた後方のようである。
「何者だ。名をなのれ」頭目の声が闇の中をつらぬいた。
「よけいな口をきくな。わたしゃ暗闇の中で目がみえるんだから、撃とうと思えば、お前さんの心臓のま上だって、撃ちぬいてみせるよ。わたしゃ――」
と女が、えらそうなことをいっているとき、部下が固まっているところで、誰かが携帯電灯をぱっとつけた。
と、間髪《かんぱつ》をいれず、轟然《ごうぜん》と銃声一発。
携帯電灯は粉微塵《こなみじん》になってとび散った。
「うーむ」どたりと人の倒れる音。
「誰でも、このとおりだよ。わたしのいうことをきかなければ……」
たしかに、彼女がやった早業《はやわざ》にちがいない。それにしてもその怪しき女は、どこから、この部屋にしのびよったものか。ふしぎというより外ない。電灯が消えると同時に女の声がしたようである。それまでは、煌々《こうこう》と明かるかったこの部屋だ。その状況のもとで、どうしてこの部屋へ忍びこめるだろうか。まるで見えないガラス
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