ているのである。
(あッ)
「無礼者《ぶれいもの》!」と頭目が叫ぶのと、机博士の手から携帯電灯が叩《たた》きおとされるのと、同時であった。
 博士は、手をおさえて、うしろへ身をひいた。彼の手から血がぽたりと床に落ちた。
「やあ君の手だったか。それは気がつかなかった。がまんしてくれたまえ」
 頭目が、すぐ遺憾《いかん》の意をあらわしたので、一度に殺気立《さっきだ》ったこの場の空気が、急にやわらいだ。
「おい戸倉。きさまが、しぶといから、こんな悶着《もんちゃく》が起る。早く隠し場所をいってしまえ。この黄金《おうごん》メダルの半分の方はどこに隠して持っている」
 頭目は、どこかにしまっていた黄金メダルの半分を再び左の指でつまんで、戸倉の方へさしつけた。戸倉は、頭目をにらみつけたまま、口を一文字《いちもんじ》につぐんでいる。
「早くいうんだ。早くいえ」そのときだった。
 とつぜん、この部屋のあかりが、一度に消え失せた。鼻をつままれても分らないほどの闇が、一同を包んだ。
 あッと叫ぼうとした折《おり》しも、
「動くと、撃つよ。動くな。あかりをつけると撃つよ。あかりをつけるな」
 と、かん高い女の
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