それは大仕掛な動く滑走路《かっそうろ》であった。細長い鉄片を組立ててこしらえた幅五メートルの滑走路で、動力によってこれはベルト式|運搬機《うんぱんき》のように横にすべって動いていく。そうしてヘリコプターは、山腹《さんぷく》にあけられた大きな洞門《どうもん》の中へ吸いこまれてしまった。
それから間もなく、動く滑走路は停《とま》った。そしてうしろの洞穴のあたりで、がらがらと鉄扉のしまる音が聞えた。
その音がしなくなると、とつぜんぱっと眩《まぶ》しい光線がヘリコプターの上から照らしつけた。洞門の中の様子が、その瞬間に、はっきりと見えるようになった。そこは建築したばかりの大工場で、この一棟《ひとむね》へはいった。土くれの匂いなどはなく、芳香を放つ脂《あぶら》の匂いがあった。そして壁も天井も明るく黄いろく塗られて、頑丈《がんじょう》に見えた。ただ床だけは、迷彩《めいさい》をほどこした鋼材《こうざい》の動く滑走路がまん中をつらぬいているので、異様な気分をあおりたてる。
ばたばたと、ヘリコプターをかこんだ五六名の腕ぷしの強そうな男たちは、ピストルや軽機銃《けいきじゅう》をかまえてヘリコプターの
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