ハンカチーフの半分よりすこし小さい部分だった。それにはこまかく日本文字が書いてあった。少年は、その文字を拾って読み出したが、なにしろ半分ばかりが焼けてしまったので、その文字はつながらなかった。
だが、少年は読めるだけの文字を拾っていた。が、急に彼は顔をこわばらせると、
「ああ、これはたいへんなものだ」と叫んだ。にわかに彼の身体はぶるぶるとふるえだして、とまらなかった。
なぜであろうか。
いったいその焼けのこりの絹のきれは、どんなことが書いてあったろうか。そして半月形の黄金のメダルこそ、いかなる秘密を、かくしているのだろうか。
深山《しんざん》には、にわかに風が出て来た。焚火の火の子が暗い空にまいあがる。
六天山塞《ろくてんさんさい》
さて、戸倉老人をさらっていったヘリコプターはどこへ飛び去ったか。
ヘリコプターは、暮色《ぼしょく》に包まれた山々の上すれすれに、あるときは北へ、あるときは東へ、またあるときは西へと、奇妙な針路をとって、だんだんと、奥山へはいりこんだ。
約一時間飛んでからそのヘリコプターは、闇の中をしずしずと下降し、やがて、ぴったりと着陸した。
前へ
次へ
全242ページ中27ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング