く妙なものだ。いったいこれは何だろうか」
と、彼はそのぴかぴか光る二つに割られた黄金のメダルを、ふしぎそうに火にかざして、いくどもいくども見直した。
「字は読めないし、それに半分じゃ、しようがないが、これでもあのおじさんがいったように、これが世界的な莫大な富と関係があるものかなあ」
せっかくもらったが、これでは春木少年にとってちんぷんかんぷんで、わけが分らなかった。
さあ、どういうことになるか。
そのとき、一陣の山風がさっと吹きこんできて、枯葉がまい、焚火の焔が横にふきつけられて、ぱちぱちと鳴った。すると少年のすぐ前で、ぼーッと燃え出したものがある。
「あっ、しまった」
それは、この半月形の黄金メダルを包んであった絹のきれだった。それには文字《もんじ》が書いてあることがそのとき始めて春木少年の注意をひいたのである。火は、その絹のハンカチーフみたいなものを、ひとなめにして焼きつくそうとしている。少年は、驚いて、火の中へ手をつっこみ、燃える絹のきれをとりだすと、靴でふみつけた。
火はようやく消えた。
「やれやれ。もちっとで全部焼いてしまうところだった」
焼け残ったのはその絹の
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