ちくりした。
「おや。中になにかはいっているぞ。ああそうか。あれなんだな。あのおじさんのいったことは嘘《うそ》でないらしい」
 莫大《ばくだい》なる富だ。世界的の宝だ。いったいそれは何であろうか。
 春木少年は、手をのばして、二つに割れた戸倉老人の義眼を手にとって調べた。
「ああ、こんなものがはいっている」
 義眼の中には、絹《きぬ》のようなきれで包んだものがはいっていた。中には、なにかかたいものがある。
 絹のきれをあけると、中から出て来たのは半月形《はんげつけい》の平ったい金属板だった。かなり重い。そして夜目にもぴかぴかと黄いろく光っている。そしてその上には、うすく浮彫《うきぼり》になって、横を向いた人の顔が彫《ほ》りつけてあり、そのまわりには、鎖《くさり》と錨《いかり》がついていた。裏をかえしてみると、そこには妙な文字のようなものが横書《よこがき》になって数行、彫りつけてあった。しかしそれがどこの国の文字だか、見たことのないものだった。古代文字《こだいもんじ》というよりも、むしろ音符号《おんふごう》のようであった。
「金貨の半分みたいだが、こんな大きな金貨があるんだろうか。とにか
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