とり落とした。眼玉は、ころころところがって、焚火のそばまでいった。
「待てよ。あれはほんとうの眼玉じゃないらしい。ああ、そうだ。義眼だろう、きっと」
彼は、自分があわてん坊だったのに気がついて、おかしくなり、ひとりで笑った。
「あ、眼玉があんなところで、焼けそうになっている。たいへん、たいへん」彼はあわてて、もえさしの枝を手にとると、焚火のそばから義眼を拾い出した。
「あちちちちッ」義眼はあつくなっていて、彼の手を焼いた。彼の手から義眼は再び地上に落ちた。すると義眼は、まん中からぱっくりと、二つに割れた。
それは春木少年のためには、幸運であったといえる。なぜなら、火で焼けでもしなければ、この義眼を開けることは、なかなかむずかしいことであったから、つまりこの義眼は、一種の秘密箱であったのだ。この球を開くには、どんなにしても一週間ぐらい考えなくてはならなかったのだ。少年は幸運にもその球形《きゅうけい》の秘密箱を火のそばで焦がしたがために、秘密箱のからくりは自然に中ではずれ、彼が二度目に手から地面の上へ落とすと、ぱっくりと二つに割れたのである。しかし、これには春木少年はおどろいて、目をぱ
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