ずと同様のものをこしらえ、それにライターの火縄の火を燃えあがらせることに成功した。焔はめらめらと、赤い舌をあげて燃えあがった。その焔を、枯れ草のかたまりへ移した。火は大きくなった。こんどは、それを枯れ枝の方へ移した。火勢《かせい》は一段と強くなった。それから先はもう困らなかった。明るい、そしてあたたかい焚火《たきび》が、どんどんと燃えさかった。
 あたたかくなり、明るくなったので、春木少年はすっかり元気になった。附近から枯れ枝をたくさん集めて来た。もう大丈夫だ。
 火にあたっていると、ねむくなりだした。昼間からの疲れが出て来たものらしい。
 しかしここで睡《ねむ》ってしまっては、焚火も消えてしまい、風邪をひくことになるであろうと、彼は気がついた。そこで、なんとかして睡らない工夫をしなくてはならない。彼は考えた。
「そうだ。さっき戸倉のおじさんからもらった球をしらべてみよう」
 それは、この際うってつけの仕事だった。少年はポケットから、例の球を出した。火にかざして、彼ははじめてゆっくりとその品物を見たのだ。
「やッ。これは眼玉だ。気持が悪い」
 彼はぞっと背中が寒くなり、眼玉を手から下へ
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