として眉《まゆ》ひとつ動かさなかったのだ。
「よし、よし、おい、木戸、仙場甲二郎、その壇《だん》のうえにある鰐魚を二つとものけてみろ。ああ、のけたか、のけたらそこに、穴が二つあるはずだが、どうだ」
「はい、首領《かしら》、ございます、ございます」
「ふむ、あるか、それではな、このメダルをひとつずつ入れてみろ。右の穴には右の半ペラ、左の穴には左の半ペラ……入れたか、よし、それじゃアな。おれが号令《ごうれい》をかけるから、それといっしょにぐっと押してみるんだぞ、一イ……二イ……三!」
 そのとたん、轟然《ごうぜん》たる音響《おんきょう》が、ヘクザ館の塔をつらぬいて、暗い夜空につっ走った。カーテンのかげにかくれていた一行七人は、一瞬《いっしゅん》、足下が水にうかぶ木の葉のようにゆれるのをかんじたが、つぎの瞬間、こわごわカーテンのかげから顔をだしてみると、こはそもいかに、木戸も仙場甲二郎も、小男も猫女も立花カツミ先生も、さてまた、針鼠のようになって死んだ机博士も、みんなみんな影も形もなくなっているではないか。春木少年はちょっとの間、狐《きつね》につままれたような顔をしていたが、やがてこわごわカ
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