かりなれてしまった。そして学校にも牛丸君のような愉快な友だちができるし、それから又港町のうしろにつらなっている連山《れんざん》の奥ふかく遊びにいく楽しみを発見して、ひまがあれば山の中を歩きまわった。
その日、清は、牛丸の平《へい》ちゃんと連立《つれだ》って、おひるごろカンヌキ山の頂上にたどりついた。そこで弁当をたべ、それからそこらにある荒れ寺の境内《けいだい》でさんざん遊び、それから午後三時ごろになって、二人は帰途《きと》についた。
秋の日は、六時頃にはもうとっぷり暮れるので、午後三時に頂上を出ると、麓《ふもと》へ出て町へはいるときは、町にも港にも灯《ひ》がいっぱいついているはず、すこし山の上で遊びすぎておそくなった。
そこで二人は、競走をして、山を下りることにした。
カンヌキ山を下りて、芝原水源地に近くなったところに、渓流《けいりゅう》にうつくしい滝がかっているところがある。この滝の名は、イコマの滝というんだそうだ。文字はたぶん生駒《いこま》の滝《たき》と書くのであろう。
カンヌキ山から出ている下り道が二つあった。東道と西道だ。この二つの道は、生駒の滝のすこし手前で出会い、
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