ことである。仙場や波立二たちと話をしていると、そこへ木戸《きど》という男がいそぎ足でとびだしてきた。
「おい、おまえたちは何をぐずぐずしているのだ。首領がお待ちかねだ。早く机博士をつれてこんか」
木戸は一同を叱りつけておいて、机博士にちかづいた。
「先生、あんた首領になにをしたんです。首領はカンカンにおこってますぜ」
首領――と、きくと、机博士の顔色はさっと鉛色《なまりいろ》になった。
「いやあ……別に……ちょ、ちょっと悪戯《いたずら》をしてみただけさ」
「なんだか知りませんが、首領をおこらせることが、どんなことだか、おまえさんもよく御存じのはずだ。いずれ、ただではすみませんぜ。さあ、おいでなさい。おい、みんな、机博士をにがすな」木戸の言葉に一同は、バラバラと机博士をとりかこんだ。こうなったら、袋のなかの鼠《ねずみ》も同然、机博士は急にガタガタふるえだした。首領のおそろしさは、知りすぎるほど知っている机博士なのだ。
「さあ、先生、それじゃお気の毒でも、いっしょにきてもらいましょうか」屠所《としょ》にひかれる羊《ひつじ》とは、このときの机博士のようなのをいうのであろう。よろよろと、足
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