しろで聞えたじゃないか。それまで皎々《こうこう》と電気がついていたんだ。いったい、どこからいつの間に首領《かしら》の椅子のうしろまで、忍びこんできたんだ。それ、即ち忍術をつかう証拠だ」
「いやですぜ、先生、変なことはいいっこなしに願いましょう」
「いや、変なことではない。いずれにしてもあんな妙なやつが、ひょこひょこ出入りをするようじゃ、この六天山塞《ろくてんさんさい》もさきが知れているな」
 仔細《しさい》らしく首をひねる机博士の顔色に、さすがの荒くれ男たちも顔見合せた。相手の性《しょう》がわかっておれば、たとえ鬼《おに》でも蛇《じゃ》でも、おそれをなすような連中ではないが、闇のなかから声ばかり、姿も形もわからないとあっては、浮足立《うきあしだ》つのも無理ではなかった。
 ひょっとするとそこらの闇にひそんでいて、猫のように眼をひからせているのではないかと思うと、襟元《えりもと》から、冷たい水をブッかけられるような気持ちだった。
 口では元気なことをいってるものの、さすがに、あのような、いのちの宙吊りをやらされた机博士、その日は一日ゲッソリ参って、自分の部屋で休んでいたが、さて、その晩の
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