たが、うっかりそんなものを燃《もや》すことはできないのだ。
 燃せば、火がでる。煙もたとう、ヘリコプターの眼がこわいのである。怪《あや》しいとみれば、あいてのみさかいもなく、機関銃の雨をふらせる連中なのだ。
「仕方がない、このまま寝よう。なにすぐ夜があけるさ」
 寒さも、飢《う》えも、疲労《ひろう》にはうちかてなかった。それから間もなく三人は、うとうとしはじめたかと思うと、やがて、前後もしらず、ぐっすりと眠りこんだ。
 それから、どのくらいたったのか。
 ふたつにわれた黄金メダルや、スペインの海賊王や、さてはまた、かくされた大宝物《だいほうもつ》について、ふしぎな夢をみていた春木少年は、ふいにはッと眼をさました。夢のなかでなにやら、異様《いよう》な物音をきいたからである。
 いや、それは夢ではなかったのだ。げんにその物音はまだつづいている。パチパチと何かはぜるような音――春木少年はギョッとして、上半身《じょうはんしん》をおこしたが、そのとたん、ドカーンとものすごい音が、夜の空気をふるわしたかと思うと、山小屋がグラグラと大きくゆれた。
「なんだ、あれは……」
 戸倉老人も、その物音に、ハ
前へ 次へ
全242ページ中163ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング