お前さんたちはだまされているのだ」
 戸倉老人はそういって笑うのだ。
 その笑いは、いかにも確信があるもののようであった。
 しかし、戸倉老人はどうしてそのようなことがいえるのだろう。老人はいままで六天山塞《ろくてんさんさい》の地下の密室におしこめられていたのではないか。ちかごろ町に起ったでき事について意見をのべる資格はないはずだ。
 それにもかかわらず、牛丸や春木の言葉をてんできこうともせず、あくまで、チャンフーの生きていることをいいはるには、何かたしかな根拠のあることなのだろうか。老人にありがちな、いったんこうと思いこんだら絶対に、ひとの言葉をきこうとしない、かたくなさからであろうか。
 それはさておき、山姫山《やまひめやま》の頂上にある陸地測量隊《りくちそくりょうたい》の山小屋に一夜をあかすことになった、戸倉老人と春木、牛丸の二少年は、それから間もなく背すりあわせて寝ることになった。
 秋ももうだいぶ更《ふ》けている。夜の山小屋は寒かった。毛布もなにもない山小屋で、三人は背すりあわせて、なかなか瞼《まぶた》があわなかった。山小屋のなかには、炉がきってあり、たきものの用意もしてあっ
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