ただいま》の時刻は、その山塞の人々ならどんな呑《の》んだくれの若者も寝床《ねどこ》について、高いびきを一時間もかいたはずであった。午前三時だ。ここ山塞も、丑満時《うしみつどき》を越えた真夜中である。では、誰であろうか。黄竜《こうりゅう》の奥の間で、ひっそりと物音をさせているのは?
それこそ机博士であった。
博士ただひとりだ。博士は、眉《まゆ》をつりあげ、額《ひたい》に青筋《あおすじ》を立て、真剣になって、黄竜の間で家探《やさが》しをしている。
机の引出もあけた。戸棚もみんなあけて調べた。秘密の大金庫も、壁からくりだして、すっかりあけて調べた。ありとあらゆる什器《じゅうき》や家具を調べ、今は、壁をかるく叩いてまわっている。どこかに彼の知らない極秘の隠《かく》し場所があるかもしれないと思ったからだ。だがみんな失敗だった。
(無い。なんにも無い。黄金メダルに関するものは、こんなところへはおいておかないのかな)
博士は無念に思って、唇をかんだ。
(たしか、この前、この部屋へ黄金メダルをしまうのを見たのだが……あれは、たとえ猫女《ねこおんな》に奪われたにしろ、あの頭のするどい頭目のことだ
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