指《さ》した方向へ走った。大きな岩が出ていた。滝つぼとは反対の方だ。
彼が、岩のかげにとびこんだとき、頭上にびっくりするほど大きいものが、まい下《くだ》ってきた。
ヘリコプターだった。竹とんぼのような形をした大きな水平にまわるプロペラを持ち、そして別にもう一つ小さなプロペラをつけた竹とんぼ式飛行機だった。
ヘリコプターは、宙に浮いたように前進を停止し、上下に自由に上ったり、下ったりできる飛行機である。だから、滑走場《かっそうじょう》がなくても飛びあがることができ、またせまい屋上《おくじょう》へ下りることもできる。
そのようなヘリコプターが、夕闇《ゆうやみ》がうすくかかって来た空から、とつぜんまい下りて来たので、春木少年はおどろいた。
なぜであろう。ヘリコプターが、なに用あってまい下りてくるのであろう。
戸倉老人が、恐怖していたのは、そのヘリコプターであろうか。
春木少年は岩かげにしゃがんで、この場の様子《ようす》をうかがった。ヘリコプターは、垂直《すいちょく》に下ってきた。
と、ぱっとあたりが昼間のように明るくなった。ヘリコプターが探照灯《たんしょうとう》を、地上へ向け
前へ
次へ
全242ページ中13ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング