に持っていくことは容易なことではなかった。
秋吉警部はだんだんやつれていった。そして事件は迷宮入りらしく思われてきた。
もしも、チャン老人が殺される日、あの店をたずねた客たちが名のってでるなら、警部は有力な手がかりをつかんだであろう。しかし誰も名のってでるものはなかった。むりもない。かかりあいになるのを恐れてのことだ。
金谷《かなや》先生しゃべる
海岸通り横丁《よこちょう》の老骨董商殺《ろうこっとうしょうごろ》しのニュースは、その翌朝には、新聞記事になっていた。
春木少年や牛丸少年の組をあずかっている金谷先生も、この新聞記事を読んだ。そしてすぐ気がついた。
「ははあ。あの店だ。昨日《きのう》飾窓《かざりまど》をのぞきこんだが、金貨の割れたのを、れいれいしく飾ってあった、あのがらくた古物商だ。
あの家の主人が殺されたんだな。それを分っていれば、もっとよく顔を見ておくんだったのに」
と、先生はすこしばかり残念であった。先生は登校すると、この話をとくいになって教員室にしゃべり散らした。
「白いひげを長くたらした爺さんなんですよ。いかにも小金をためているという風に見え
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