服には穴があいており、その穴のまわりの服地は、焼《や》け焦《こ》げになっていた。
 ピストルの弾丸《たま》は、背中をうちぬき、うしろの壁かざりをつきぬけ、壁にめりこんでいた。それを掘りだして調べてみたところ、そのピストルは、よく普通に見かけるブローニングやコルトのものではなく、口径《こうけい》のずっと小さい特殊のものだった。それは多分ピストルの形をしないで、他の物品に似せて作ってあるもののように思われた。たとえば万年筆の形をしたピストルだとか、扇子《せんす》の形をしたピストルだとかを、暗殺者はよく持っているが、そんな風なものにちがいない、そういう物品に似せるためには、どうしても弾丸の口径を細くしなければならない。自然《しぜん》、火薬も少量しか使えないので、そういうピストルは、殺す相手の身体にぴったりとつけて発射しないと、弾丸が身体の中へはいらない。
「犯人は、只者《ただもの》じゃない。チャン爺さんを殺すことなんか、鶏《にわとり》の首をしめるほどにも感じなかったんだろう」
 警部は、そう思って慄然《りつぜん》とした。
 老人は、帳場の台をへだてて、客と向いあっていたらしい。それから老人は
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