のあとが、額の上から左眼を通り、鼻筋から、唇までに達していた。ものすごい斬《き》り傷《きず》であった。しかしその傷は、光線が彼の顔の上に、或《あ》る方向から照らしつけるときに限り、非常にものすごく見えた。
「その半分のメダルを見せて下さい」
 彼はおぼつかない英語で、そういった。
 老商チャンは、客よりは上手な英語で応対した。彼は、今日はこの黄金メダルに、妙に人気が集っているのに気がついて、上機嫌であった。それと共に、彼はゆだんをしなかった。
 刀傷のある船員は、黄金メダルを何十ぺんとなく裏表をひっくりかえし、またチャンから拡大鏡《かくだいきょう》を借りて、念入りに全体を検《しら》べてみたり、掌《てのひら》にのせて重さを測ったりした。そのあとで、
「これいくらで売りますか」と、老商にたずねた。
「四十万円です」チャンは、こういうのは金持ではないから早く追払《おっぱら》うにかぎると思って、かんたんに返事をした。
「四十万円ですか。私、千二百ドルで買います。千二百ドルなら五十万円以上にあたります。あなた、いい商売します」
 客はそういって、ポケットから米貨の紙幣をチャンの前へ並べだした。チ
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