ャンは、近頃こんなにびっくりしたことはない。
「待って下さい。この品物は、実はもう売約ができていまして、さしあげかねます」
「いくらで売約しましたか」
「それは、あの……」老商チャンは、まさか正直に二十万円とはいいだせなかった。
客は、紙幣を並べおえた。
「私、五十万円に買う契約、さっき、あなたとしました。私、買います。五十万円の高値でこれを買う人、私より外にありません」
「よろしい。売りましょう」
チャンは、ついにそういった。二十万円に売るよりも五十万円に売った方が二倍半の大もうけだ。売約したあの婦人には、手つけの二万円の外に、あと五千円か一万円つけて返せば、文句はないだろう。そう思った老商チャンであった。
客は、黄金メダルの半ぺらを持って、店をでていった。チャンは、受取った紙幣をもう一度数えるのに熱中していた。
それから七八分あとのことだったが、万国骨董商チャンフー号の店先を通りかかった一人の少年が、不意に立ちどまって、さけび声をあげた。
「うわーッ。これは血やないか。店の奥から、えらいこと血が流れてきよるがな」
その声に、近所の人たちがおどろいてとびだしてきた。そしてチ
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