供ぽかった。身長五尺四寸に肥満性という女の妾と較べると、まるで十年も違う弟のように見えた。そして痩せている方ではなかったが、顔色は透きとおるように白く、捲くれたような小さい唇はほんのちょっぴり淡紅色に染まっているというだけであって、見るからに心臓に故障のあるのが知られた。顔だちも妾とは違ってメロンのようにまン丸かった。
 その安宅という青年が邸に来たとき、妾は彼があまりに年端《としは》もゆかない様子なのを見て、一体何の用で来たのか会ってみたくなった。それで客間に招じて応接してみると、やはり用というのは、自分こそは貴女の探している双生児の片割れであろうと思ってやって来たというのであった。
「嘘を仰有《おっしゃ》い。あんたは一体いくつなの。妾よりも五つ六つ下じゃないの」
 と妾は少年――でもないが、その安宅真一を頭から揶揄《からか》った。
「そんなことはないでしょう。僕、これでも二十三か四なんです」
「あら、妾が二十三なのを知ってて、わざとそんなことを仰有るのでしょう」
「いえいえ、そんなことはありません。本当に二十三か四なんです」
「二十三か四ですって、三か四かハッキリしないのは、一体ど
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