三人の双生児
海野十三

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)妾《わたし》なのである。

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)毎日毎日|温和《おとな》しく

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)それが※[#「てへん+宛」、第3水準1−84−80]《も》げることなどを
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 あの一見奇妙に見える新聞広告を出したのは、なにを隠そう、この妾《わたし》なのである。
「尋《タズ》ネ人……サワ蟹《ガニ》ノ棲《ス》メル川沿イニ庭アリテ紫ノ立葵《タチアオイ》咲ク。其《ソ》ノ寮《リョウ》ノ太キ格子《コウシ》ヲ距《ヘダ》テテ訪ネ来ル手ハ、黄八丈《キハチジョウ》ノ着物ニ鹿《カ》ノ子《コ》絞《シボ》リノ広帯ヲ締メ、オ河童《カッパ》ニ三ツノ紅《アカ》キ『リボン』ヲ附ク、今ヨリ約十八年ノ昔ナリ。名乗リ出デヨ吾ガ双生児ノ同胞《ハラカラ》。(姓名在社××××)」
 これをお読みになればお分りのとおり、妾はいま血肉をわけたはらから[#「はらから」に傍点]を探
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