人気だというの」
「いや、実は、わしのところで、ちょっとした競走をはじめたんですがね。それが大繁昌《だいはんじょう》なんで。みなさんがどっとおしかけてきてね、部屋の中がぎゅうぎゅうで、たいへんなんですよ」
「どういうわけで?」
「どういうわけでといって、つまり、わしの考えだした競争に人気がすっかり集まってしまったんですよ」
「誰が競争するの」
「誰って、つまりアブラ虫ですよ」
「アブラ虫だって? アブラ虫かい」
正吉は、おどろき、そしてあきれた。
キンちゃんの方は、どうですといいたげに、にやにや笑って、
「食堂に出てくるアブラ虫を、大切にして飼っておいたのです。かなり大きいのがいますよ。横綱というのは、一番大きくて、腹が出っぱっているのです。そのかわり、競走させると案外おそいのでねえ」
「なんだって、アブラ虫なんか飼っておいたの」
「たいくつだからですよ。アブラ虫だって、生きてうごいていれば友だちのかわりになりますからねえ。それにバターをなめさせたり、ジャガイモをくわせたりしていると、アブラ虫もだんだんわしになついてくるんでね。そりゃとてもかわいいですよ」
キンちゃんは目を細くし
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