て笑う。
そのキンちゃんが、ぜひコック部屋へ見にきてくれというので、正吉はそのあとについてのぞきにいった。
すると、部屋の外まで、人間のお尻がたくさんはみ出している。みんなアブラ虫競走に賭《か》けて夢中になっている連中だった。
キンちゃんのかわりに、散髪夫《さんぱつふ》の虎《とら》さんというのが、ちゃんとアブラ虫を指揮して競走をやらせていた。経営者側のキンちゃんも虎さんも、だいぶんもうかっているらしい。しかし、かんじんのアブラ虫は、そうたびたびは競走をくりかえさない。つまり競走をするのも、バターやジャガイモをなめに行くためであるから、一回なめると腹がふくれる。二度目、三度目といううちに、すっかりたべあきてしまって、ゴールのところでバターがにおっても、あぶら虫はかけださないのだ。
「ねえ、ちび旦那。あんた一つ、あぶら虫を飼って、数をふやす係をやってくれませんか。そうしたら、うんと手当を払いますぜ」
キンちゃんは、大まじめでそんなことを正吉に申し入れた。
正吉は、アブラ虫にくいつかれたことがあって、アブラ虫はきらいだからと、キンちゃんにことわりをいった。
月人《げつじん
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