がらないでしょう」

「おやおう。だいぶんごきげんよろしくないようだ。そんなに悲観してしまっては困るね」
 せっかくカンノ博士がわざとそういったのだと思い、よろこぶ気になれなかったのである。


   迫《せま》る怪影《かいえい》


 警鈴《けいれい》が、この宇宙艇「新月号」の隅《すみ》から隅までに響きわたったのは、その直後のことであった。
「あッ、警鈴《けいれい》だ」
「なんだろう、今頃警鈴が鳴るなんて……」
 正吉もカンノ博士も、共に耳をそばだてて、警鈴の次に高声器からとび出してくるはずのアナウンスを待ちうけた。
「月人《げつじん》一名が本艇右舷の第三門口を破壊しようとかかっている――艇長命令。全員直ちに配置につけッ」
 さあ、たいへん。月人の来襲《らいしゅう》である。
 来襲した月人は、今のところたった一人だというが、ゆだんはならない。第一番に偵察者がやって来て、そのあとに雲霞《うんか》のようにおびただしい月人隊がおし寄せるのかもしれない。
 カンノ博士は、すぐ操縦室にとんでいった。正吉も、博士のあとについて、その室へはいったが、彼はテレビジョンの下へいって、月人を見ようとした
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