うん、よしよし。なるほどなあ」
 博士はひとりごとをいった。
 正吉は、何事だろうと、博士のそばへそっと寄《よ》っていった。すると博士は、気がついて正吉を手招きした。
「おい君、私は今一つ、発見したよ。このハンカチーフの主――つまり君のおじさんの毛利博士は、少なくとも今から三ヶ月前までは生きていたという事実が分かった。それはこのハンカチーフについている博士の身体からの分泌物《ぶんぴつぶつ》の蒸発変化度《じょうはつへんかど》から推定して今のようにいうことができるんだ。どうだね、この発見は君に何か元気を加えることにはならないだろうか」
「ああ、そうですか。しかし三ヶ月前まで生きていたことが分かっても、大したことではありませんね。今、生きているかどうか、それを知りたいです」
 正吉は、あまりうれしがらなかった。
「ふーン。君はこの発見を、その程度の値打にしか考えないのか。私なら、もっとよろこぶがなあ。つまり三ヶ月前に生きているものなら、今も生きているだろうとね。三ヶ月なんか、この月世界ではなんでもない短い期間だよ」
「そうでしようか。ぼくは、おじが現在生きている姿を見せてくれるまでは、うれし
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