下さい」
「あぶないよ、それは。しかし、どうしてもう一度行きたくなったのか」
「ぼくは、おじさん毛利博士の最後を見とどけたいのです。あの倉庫をもっとよく探せば、おじのことが分かると思うのです。それにカンノ博士も、ぼくもいっしょに行ってもいいといっておられます」
「なに、カンノ君までが、そういうのか。みんな自分の生命をそまつにするから困る。もし一人がたおれると、その人だけの損ではなく、わが探検隊全体が弱くなるんだから、そこを考えて自重《じちょう》してもらわないと困る」
「はい」
 そういわれると、正吉はそれでも行かせてくださいとは、いいかねた。そして、しおれて、カンノ博士のところへ戻っていった。
 カンノ博士は、正吉の方へちらりと目をやっただけで、また机に向かった。
 机の上には、顕微鏡がある。それから化学実験用の道具が並んでいるが、これは四角い鞄の中にはいっていて、いつでもこれをしまって、鞄の形にして携帯できるようになっている。
 博士が顕微鏡を使ってのぞいているのは一枚のハンカチーフであった。これは倉庫第九号の入口のところで拾ったもので、五万年前の人骨が横たわる下にあったものだ。

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