いた。
「とてもだめですね。どうしても、今日|採《と》ってきた量の三倍は入用《にゅうよう》ですね」
「あと、どれだけいるのか。それでは、明日もう一度トロイ谷へ行って掘ることにしよう」
「しかし隊長。トロイ谷へ行くことは、たいへん危険だと思いますが……」
「危険は分っている。しかし火星へ行くのをやめて、このまま地球へ引っ返すこともできないと、みんなはいうだろう」
「それはそうですね」
「そうだとすれば、われわれはもう一度危険をおかさなくてはならない」
「やっぱり、そういうことになりますかなあ。あの倉庫第九号に貯えておいたルナビゥムが盗まれないであれば、こんな苦労をしないですんだのですがね。あれを盗んだ犯人は、もう分かったのですか」
「カンノ君が調べていたんだが、その調べの途中で、僕たちがトロイ谷から救いをもとめたので、カンノ君は捜査《そうさ》をうち切って、われわれの方へかけつけたのだ。そういうわけだから、カンノ君はまだ犯人をつきとめていないだろう」
 隊長とカコ技師がそういって話をしているところへ、正吉がひょっくり顔を出した。
「あ、隊長。お願いです。ぼくをもう一度、倉庫第九号へ行かせて
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