にしていなかったが、今日ばかりは恐《おそ》れいったよ、カンノ君」
 マルモ隊長はカンノ博士を見で、微笑《びしょう》した。
「カンノ博士が、どうしたんですか」
 正吉が、たずねる。
「月世界に生物が住んでいられるかもしれないというのは、実にカンノ君のたてた説なんだよ。君、話してやりたまえ」
「はあ。それでは、かんたんに申しますが、元来月は、地球の一部がとび出して、この月となったのです。おそらく今太平洋があるところあたりから、抜けだしたのであろうといわれています。ことわっておきますが、これは私の説ではなく、昔から天文学者の研究で唱《とな》えられている学説の一つです」
 正吉はカンノ博士の、この奇抜な説に、ひじょうな興味をおこして、前にからだをのりだした。
「これから後が、私の説なんですが、しからば月が地球を離れるとき、動物も植物もいっしょに持っていったに違いない。そして条件さえ、よければ、月の上で、しばらくはその動物や植物が繁殖《はんしょく》し、繁茂《はんも》したに違いない」
「おもしろいなあ」
「そのうちに、月世界の上にある大異変が起って、だんだん冷却してきた。そこで動物や植物の多くは死
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